Rb98 IRIS-T
短距離空対空ミサイル IRIS-T
【Infra Red Imagery Sidewinder-Tail controlled イリス-T】
スウェーデン、イタリア、ノルウェー、ギリシャ、カナダ、ドイツの6カ国共同開発新世代短距離ミサイル(カナダは計画から離脱を表明)。 Rb98 IRIS-TはAIM-9XやASRAAM同様、推力偏向ロケットモーターを装備し、正面から大きく外れた位置にいる航空機への攻撃が可能な、いわゆるオフボアサイトミサイルです。また、従来のAIM-9との互換性を考えられており、IRIS-Tを採用することによる大規模な改良などは必要としません。 誘導方式は赤外線画像誘導。20世紀主流であった赤外線誘導ミサイルよりも波長の長い赤外線を感知することが可能になったため、従来のRb74(AIM-9L)のように目標をボヤけた塊としてではなく、ハッキリとした航空機として認識し、フレアへの耐性も高まりました。 なお、機体から発せられる赤外線周の波長はおよそ3-5umおよび7-13um(um=マイクロメートル、1/1000mm)で、エンジンから放出される赤外線は、およそ3-5um、アフターバーナー使用時では2umです。古い赤外線誘導ミサイルは波長の短い赤外線しか探知する事ができません。 ミサイルの誘導部は、赤外線シーカーより認識された目標のX軸とY軸の位置を割り出し、ある時間単位の間に増減したX軸とY軸の量(相対角度の変化)に比例した分舵を動かし、XとYの増減が無くなるようミサイルは方向修正します。増減が無くなった(相手が直線飛行している)場合、修正は行われません。 このような誘導方式を比例航法と呼び、世界中全ての赤外線画像認識誘導ミサイルに採用されています。ミサイルは常に予想着弾点へと飛翔し、高い命中率を期待する事ができます。 画像認識ではない従来の赤外線誘導ミサイルも基本は同じであり、相対角の認識方法は異なれど、角度の変化に応じた分量だけ舵を切って誘導がなされます。 面白いことに、IRIS-Tは発射前にロックオンする必要はありません。Lockon after launch mode(発射後ロックオンモード)により、発射後IRIS-T自らが目標を捜索し誘導されます。この誘導方式はシーカーの探知することのできない距離に存在する目標への攻撃が可能ということです。 Rb74 サイドワインダーに代替するRb98 IRIS-Tは各国のグリペン、ユーロファイタータイフーンに装備され、イギリスのASRAAMに対抗すべく売り込み合戦が行われることでしょう。 |
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