METEOR-BVRAAM
中距離空対空ミサイル METEOR
【メテオ-隕石の意】
BVRAAM、すなわち目視外空対空ミサイルは、現在主流の中射程ミサイルを発展させることにより射程を2〜3倍と大幅に延長させることを実現する次世代中射程ミサイルです。 BVRAAM構想の代表格に米国レイセオン社のFMRAAM、及び欧州共同開発のメテオミサイルがあります。ここではメテオについて解説いたします。(FMRAAMについてはF-15ストライクウイング参照願います) メテオは、従来ロケットモーターのみであった推進力をダクテット・ラムジェットエンジンを加える事により、射程100〜150Kmにも達する中射程ミサイルで、ラファール、ユーロファイター、そしてJAS39グリペンに搭載されるべく国際共同開発が行われています。 通常のミサイルのロケットモーターは固形燃料を使用します。固形燃料は制御が難しく一気に燃焼するので、瞬間的な推力は非常に強力で抜群の加速力を得る事ができるのですが、すぐに燃焼しきってしまう難点があり、射程を延長すると大量の推進剤を必要とし、どうしても大きく、重くなってしまいます。逆に、ラムジェットエンジンはロケットと比較すると推力には劣るものの、制御の容易な液体燃料を使用して長距離を高効率で飛行する事を実現することが可能です。またエアインテークから空気を取りこみ、酸素を燃焼させるわけですから、固形燃料のように酸化剤を自前で搭載する必要が無いためより多くの燃料を搭載することができます。 メテオでは初期加速にロケットモーターを使用し、ロケット燃焼後はラムジェットのみで飛行します。ラムジェットは超音速、しかもマッハ3以上と高速であればあるほど強い推力を発し、逆に亜音速以下ではほとんど機能しません。ロケットモーターよりも推力は弱いと書きましたが、あくまでもロケットモーターと比較した場合であり、メテオはマッハ3〜4の巡航速度を維持します。 誘導は現在流行である、中間慣性アップデート+終端アクティブレーダーであり、チャフはほとんど無効、ジャミングが発せられた場合、発信源へと誘導される等、ECCM能力に長け、8〜9G機動中の目標の迎撃が可能です。8〜9Gともなると、ほとんど戦闘機の限界に近く、ミサイルや爆弾を搭載している場合、モノにもよりますが5〜7Gが良いところです。スペック上ではほとんど確実に目標を撃破可能に見えますが、燃料を燃焼しきって速度も原則した滑空状態でもそれが可能であるのか、2002年現在、試射すら行われていないので何とも言えません。 AIM-54の例もありますし、テストで良好な成績を記録しても実戦で次々と敵機を撃墜するなどという保証はありません。未だかつて100Kmという距離から発射された空対空ミサイルが実戦で命中したためしはないのです。 メテオを始めとするFMRAAM、R-77PD、各国のラムジェット空対空ミサイルが今後どのような評価を受け、どのような戦果をあげるのか。大きな興味を持たざるを得ません。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|